零のかけら

たとえ小さな欠片でも腐食が酷い残骸でも、かつては大空を飛んだ当時の最先端技術。そこから見えた考えさせられることを私の視点でつれずれと・・・・・



前桁中央部結合材
主桁メインの前桁上部を結合する部材。
上部は中島機、下の裏表は三菱機、共に同期間放置された回収機の物で、現在は立派な複製品に置き換えられて本家と避暑地で展示されています。
中島は奥まった所に在り破壊が進んでいなかったこと、三菱は滑走路近くにあり当時の爆撃と戦後の破壊故にこの部分まで雨水等に暴露され腐食が進行したと思われる。

主桁、いわゆる当時の最先端素材「超々ジュラルミン」で高強度を誇ったが、敢えて短命になる事も承知で亜鉛を添加し、耐腐食性の犠牲の上に高強度を実現している。
中央穴はフットバー基部、当時搭乗員の踏ん張りを一点で受け止めていた穴でもある。



縦通材、胴体結合部
零戦の特徴でもある華奢な胴体、その骨格の一つの縦通材。
これは胴体前後部が結合される第七隔壁部分の重要な縦通材補強部分、右の赤茶けたボルト穴が当時の結合ボルトが緊締されていたところ。



通称ナマコ板
零戦搭乗員の操縦席に乗り込む際の主翼上の滑り止め。
主翼後桁より後ろは赤枠で警戒線が描かれていた通り、搭乗の際でも決まった所を踏まないと凹んでしまう構造。
このライン上の裏には補強材があてがわれていた。

この板の注目点は滑り止めの点の一つ一つが水滴型であること、表では見え辛いが裏を見ると判る。
この点下らない悪い点と捉える事はできるが、私は日本人の精神性が現れている部品だと捉え泣ける逸品でもある。





フィレット
特徴ある外板変形ラインの一つ。
ライン変化する理由は縦通材内部に填材されている木材に沿って木ネジでフィレットを止めているが、ハット型の縦通材のエンド部分に当たる為に填材が伸ばせず上に逃がしている。





エンジンカウリング緊締装置カバー(発動機整流環緊締装置、覆蓋)
現在でもレーシングカーなどで使用されているバネ止め金具で固定するパネル。
塗色で中島機と明瞭に判別できる。
表は艶消し黒、裏は青色透明塗料の上に艶消し黒、振動と着脱時の塗装剥がれの防止の為か?縁の部分のみに赤褐色で縁取りされている。




栄一二型 No12401 気筒番号R1 (弾痕2個所)
滑走路脇の駐機中の機体から回収されたシリンダでヘッドとの境目の物である。(弾痕右上に残るネジ山2列がヘッドを焼嵌していたねじ込み部分。)

R1はエンジン最上部中央気筒で、この一部は後方面のものであるから弾道はやや左ほぼ後方から来たと判り、よくある駐機中に撃たれた弾痕ではなく飛行中Cal50からの物と推測される。
弾痕下に付着している艶のある銅色の金属は、おそらく7、62mmが貫通せず潰れたもので駐機中の物と推測。

カットされた断面、シリンダフィンの断面がよく判る



出所不明の零戦と同型のプロペラ
リムに刻印も探し出せないほど程度が悪くても在る所には在る。
いまでも各所に眠る零戦ペラの深部にはこの刻印が輝いている事だろう・・・